射程(仕事の届く範囲)
定義
時田隆佑(トキタ企画)が2026-04-08 note記事で導入した概念。仕事のスケールがどこまで届いているかを表す。
一年後・三年後・十年後という時間軸、あるいは個人→家業→産地→地域→国→世界→地球という空間・関係軸において、自分の仕事がどこまで影響を持ちうるかを意識するための概念。
核心命題
「射程は、どんな仕事にも必ずある。米を売る仕事にも、本を売る仕事にも、書類を整理する仕事にも、ある。違うのは、その長さと、それを意識できているかどうか、だけだ。」(時田隆佑)
射程は「ある/ない」の二値ではなく、長さと意識の有無の問題。
射程の構造(D&DEPARTMENT的7段階)
ナガオカケンメイ(D&DEPARTMENT)が商品選定で用いる「段階」論が射程の構造として引用されている:
- 作り手のためになる
- 家業のためになる
- 産地のためになる
- その県のためになる
- 日本のためになる
- 世界のためになる
- 地球のためになる
同じ商品でも「どこまで届いているか」が射程の長さを決める。
射程の縮小・拡張
縮小要因:言葉
仕事の呼び方が射程の入口を決める。
| 射程が短い言葉 | 射程が長い言葉 |
|---|---|
| 「米を売る仕事」 | 「土地と人をつなぐ仕事」 |
| 「今月の売上目標」 | 「食卓に関わる仕事」 |
| 「書類を整理する仕事」 | 「組織の記憶を守る仕事」 |
外から降ってくる強い言葉(顧客・上司・業界常識・カスハラ等)は、本人の意思に関係なく射程を縮める。「妄想ができないのは弱いからではなく、言葉が強すぎるからだ」という指摘は、射程縮小の外部要因を明示した点で重要。
拡張方法:妄想
特別な発想力は不要。目の前のものを少しだけ遠くまで「連れていって」、その途中の景色を想像するだけでよい。 → 詳細は 妄想による射程拡張
拡張方法:歴史
歴史を辿ると、自分の仕事の線が過去にも未来にも伸びていく感覚が生まれる。「目の前のモノが急に時間を持ち始める」という状態が射程拡張の感覚的な記述。
自己内対話としての射程確認
射程が縮んだ日のための処方として、「自分が自分に向ける言葉くらいは、少しだけ広いものを選んでおく」という実践が提案されている。それが何かを変えるわけではないが「明日、戻ってくる場所として」機能する。
NEDフレームワークとの関係
NEDフレームワークのNarrative軸(物語を読む)は、自分や相手の「仕事の射程」を読み取ることと深く結びつく。射程が見えていないと、仕事はやがて作業に還元される。射程を意識することは「物語として仕事を捉える」NEDの出発点とも言える。
またEdit軸との接続として、射程を伸ばすためには「仕事の名前の置き換え」という編集行為が中心的手段として機能する。
ナガオカケンメイ的視点との接続
D&DEPARTMENTの「ロングライフデザイン」思想とも接続可能。単品の商品価値を超えて産地・文化・時間軸で評価する視点は、射程を意識的に長く設定した商品選択の実践例。
関連コンセプト
- 妄想による射程拡張 — 射程を伸ばす方法論
- 言語の仮置き(Provisional Language) — 言葉による射程制限を意識的に外す実践
- NEDフレームワーク — 射程の概念が埋め込まれた思想的背景
- 余白の仕事 — 射程が見えているからこそ「余白」の価値が分かる
- もっともらしさ(Plausibility) — 射程が短くなると仕事はもっともらしい作業に還元される
- つなぐ役割(Connector Role) — 射程の長い仕事を担う役割の形
出典
- 260408_極端な話_いまの延長に世界がみえているか(2026-04-08)— 概念の初出